夏の奇跡

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付き合うようになって、変に意識するようになった。 話しかけられて、ホントは胸が高鳴るほど嬉しいのに、素っ気ない態度をとってしまう。 そのくせ、慶太が他の女の子と話しているのを見ると信じられないほどに苛立つ。 慶太が断れないの知ってるのに。 でも、ニ人っきりになるとその思いが伝えられない。 手を握るのを拒んだことをあった。 こんなに感情を上手く出せないことに苛立つ事は無かった……。 こんなに……自分が嫌になることは、今まで無かった。 「……ねぇ、明日香」 ある日の帰り道、急に慶太が私を呼ぶ。 最近になってやっと名前で呼べるようになったウブなやつ。 「何?」 いつも通り、私は素っ気ない態度。 顔も見ず、ただ紅葉を始めた並木道の風景を呆然と眺めていた。 「僕といて……楽しい?」 思わず慶太を見る。 いつもの笑顔。けど、それが本物なのか仮面なのか分からなかった。 「まぁまぁね」 いつものように返して顔を背けるが、内心かなり動揺していた。 慶太は私が楽しそうにしていない。そう思っている。 その時、分かってしまった。 この胸のときめきは、少しも慶太には届いていなかったんだ……。
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