腕の中で

2/4
前へ
/112ページ
次へ
薄闇の中……。 あたしは、抱かれてる。 幼馴染みの腕の中で―…。 好きなんかじゃない。 勿論、愛してもいない。 でもあたしは、大人しく抱かれ続ける……。 あたしが愛しているのは―…。 目を閉じれば、優しく微笑む、愛しい人。 流(リュウ)――。 そしてあたしは、夢を見る。 大好きな流に、抱かれている夢を……。 「愛してる……」 ―――… 「よかったよ、渚(ナギサ)」 そう言いながら、服を着始める幼馴染みの慶也(ケイヤ)。 「そ……ならよかった」 あたしも、冷静なふりをしてそう答え、服を着る……。 あたしと慶也は、表向きには幼馴染み。 裏では、俗に言うセフレ。 慶也に迫ったのは、あたしだった。 慶也なら、流を忘れさせてくれると、思っていたから……。  
/112ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加