腕の中で

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そんな考えが、間違いの元だったのかもしれない。 あたしは今……自分が一番嫌い。 そして、憎い。 なぜ、慶也に逃げてしまったのか……。 なぜ、流を待とうとしなかったのか……。 なぜ、諦めてしまったのか……。 違う。 諦めてなんかいない。 あたしは今でも、流が好き。 何よりも愛しく、大切。 でもあたしは、もうこの状況から、抜けられなくなっていた……。 例え、相手が慶也でも……。 抱かれている間だけ、あたしは流に会える。 そして愛せる。 愛される―…。 その甘い誘惑、快感に、あたしはすっかり溺れきっていた……。 「……帰る」 髪は乱れていた。 化粧もぼろぼろ。 正直、シャワーを浴びたかった。 でもあたしは、慶也の部屋から飛び出していた……。  
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