第一章-月の詩-

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「おはようノゾミ。」 朝の目覚めは御主人様のほうがいつも早かった。 私が欠伸をしながら目を開けるとドアップの御主人様の笑顔。 ニャァ、おはようございますと言いたいのに出てくるのは代わり映えの無いニャァ。 だけどそれでも構わない。 「ん、ちゃんと挨拶できて偉いね、ノゾミ」 御主人様に伝わればそれで満足。 御主人様が顔を洗いに行ってる間、私も毛づくろいをし顔を舐め、身嗜みを整える。 戻って来た御主人様の後について朝食を摂りに下へ行く。 「セバスチャン、今日の天気はどんな感じかな?」 もぐもぐと口を動かしながら御主人様は執事に聞いた。 お父様がいたら怒られていたでしょう。 幸いなことにお父様は出張中…。 まぁ御主人様もそのことを心得ての事だと思うけど。 「はい、お坊ちゃま。お出かけするのにはちょうど良い気候でございます。」 執事によれば、日差しも強くなく過ごしやすいとのこと。 一日晴天……ともなればすることは一つ。 「よし、ノゾミ。今日はお散歩だ!」 満面の笑みで私に顔を向けた御主人様。 散歩好きの私も元気良く返事を返す。 普段なら散歩は一人で行くのだけど、他の猫仲間も一人で行くと言うのに、私は御主人様との散歩が大好きだった。 御主人様の笑顔が大好きだった。 「行ってくる!」 「ニャァ!」 私達は屋敷を後にした。
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