第一章-月の詩-

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ポカポカと暖かい日差し。 木陰に入ると一瞬にして涼しくなる。 その温度差がおもしろい。 「ノゾミ、楽しそうだね」 塀の上を歩いている私の目線はちょうど御主人様と同じぐらい。 御主人様の髪の毛に光が当たってキラキラ輝いていた。 私も御主人様と同じ光の中に居ることができたのでしょうか。 「ノゾミ、向こうに渡るからおいで」 私のほうに手を差し延べる御主人様。 横断歩道を渡るときはいつも抱っこされている。 車の通が激しくて轢かれてもおかしくないから。 御主人様は私の安全を守ってくれているのだ。 「さ……人が多いからはぐれないようにね?」 一つ道を渡っただけなのにあっと言う間に騒然とした街になる。 あっちへこっちへ人の流れが激しい。 この人込みでは流石の私も…。 「ニャァッニャー」 御主人様とはぐれずにいるのは至難の業のような気がします。 「ん、そうだね…抱っこで我慢してくれるかな?」 意志を汲み取った御主人様は私を抱っこしてくれた。 どうやら御主人様は私が抱っこされるのを好ましく思わないと考えてるようで。 「ごめんね、すぐ人の少ないところ行くから」 苦笑いを浮かべていらっしゃる。 大丈夫ですよ御主人様。 私は御主人様が大好きだから、御主人様にはずっと抱っこされていたいくらいです。 御主人様に擦り寄れば擽ったそうな笑い声が聞こえる。 「ノゾミは優しい子だね」 私の気持ちは伝わったのでしょうか。 大好きな大好きな御主人様。
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