第一章-月の詩-

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「ふふっ…」 さっき露店でネックレスを買って以来、御主人様はずっとあの調子。 とっても嬉しそう。 それを見ていると自然と私も嬉しくなる。 御主人様とお揃いのネックレス。 毛が絡まないように工夫が施されている。 まさに私達のために造られたのではないかと思うほど。 暫く歩いてるうちに雨の匂いがしてきた。 執事は一日晴れだと言っていたのに…。 通り雨かも知れないが少なくとも雨が降る、そう思った。 「ミャー」 「ん……どうしたのノゾミ?」 どうしたものか。 御主人様も前後の脈絡が無ければ言いたいことがわからないようで。 私は必死で空を指差した。 正確には前足を上げた。 「もしかして………雨…?」 「ニャ!」 「分かった、ノゾミの天気予報は当たるからね、急いで帰ろう!」 御主人様と一緒に屋敷へ戻る。 十字架同士がカチカチぶつかる音が何となく誇らしい気分にしてくれる。 私は御主人様が大好きなのです。 御主人様も私が大好きなのです。 私達はずっと一緒なのです。
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