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「わぁっプリンだ!」
一緒に手を洗って帰ってくるとテーブルの上には美味しそうなプリンが二つ。
プルプルとしていて見るだけでよだれが出てしまいそう。
………二つ?
御主人様は二つも食べるのでしょうか。
「ノゾミ、今日はノゾミもプリンだよ、僕の大好きなプリン!ノゾミも気に入ると良いな…」
なんと、プリンは私の分でした。
黄色い土台にかかる茶色のとろとろとした液体。
どんな味なのでしょう。
きっと私の目は宝物を見つけたときの様にキラキラとしていたに違いない。
食べたいと願ったものが今、目の前にあるのです。
食べていいのです。
嬉しくって嬉しくって、勢いよく噛り付いたら口の周りにとんでしまいました。
けれども私にはそんなこと関係ありません。
甘い甘い味が口いっぱいに広がって。
そのくせ茶色のところはほろ苦くて。
御主人様が気に入るのもわかります。
私はお皿に残った少しのかけらまで舐めました。
「良かった、ノゾミも気に入ったんだね」
クスクスと笑う御主人様。
「ニャァ!」
「あ……ノゾミったら口の周り大変…ほら、おいで」
相変わらずクスクスと笑い続ける御主人様。
私は御主人様のもとへ向かいました。
手には真っ白のハンカチ。
御主人様はそれで不意に私の顔を覆いました。
いいえ、口を拭ったのです。
「ほら見てごらん」
楽しそうにハンカチを広げた御主人様。
よく見ると真っ白なハンカチに転々とある黄色いシミ。
きっと私の顔についていたのです。
優しい優しい御主人様。
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