世界に穿つ、ただ一つだけの祈り方

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傑は凛の家の前にバイクを止め、ため息をついた。 「相変わらず怖いんだよなぁ、この家」 この街の閑静な住宅街の一角に洋館が建っている。 昼には誰もいない空き家だが、夜になると昔この屋敷で死んだ男が夜な夜な歩き回るという幽霊現象が噂されるこの屋敷。 これが凛の家だ。 人がいますよ~、ということをアピールしたいのか不気味にもライトアップされている。明らかな逆効果だ。 ピンポ~~ン インターホンが鳴る。門を隔てた向こう側に悲しそうな顔をした凛が立っていた。 「さぁ、お迎えに参りましたよ姫。行きたい所とはどこですかな?」 紳士気取りの傑。 ちょっとうざいが、少しだけ凛の気が楽になった。 「――病院」 「はい?」 「秀二の病院に行きたいの!」 「―――はぁ。僕、最近こんな役ばっかなんですけど」 「つべこべ言わずにとっとと連れてく!!」 「はぁ。了解ですよ」 傑の原付きに乗ること約三十分。 また検問があったが前回同様、裏道を使い病院に向かう。 「なんで病院の出入口に警察が立ってんだ?しかも四人もいるし……」 病院の出入口には、慌ただしく動く警官がいた。 「ニュース見なかったの?」 「あぁ、見てない。何かあったのか?」 「――殺人事件があったらしいの」 「へぇ~。その事件が秀二と何か関係あるの?」 「殺害されたのが秀二を手術してくれた先生って言ったらどうする?」 「あぁ、あの先生か。泣きじゃくるお前を懸命にあやしてたな♪」 顔を赤らめ、そんなことはどうでもいいでしょ!!と猛抗する凜。 「で、どうしたら秀二にたどり着くんだ?」 「――先生が死んだのは今日よ」 ああと頷く。 だから何だと言い返したくなる。 「秀二が退院して学校に来たのも今日」 「あぁそうだな」 と言い終わった後に気づく。 こいつは何を根拠にそんなことを言うのだろうか。
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