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会議室代わりに使用していたテントの中には、霞を除いて六人の男がいた。
全員、先程の霞の話を聞き、生きたい、早く帰りたい、と願った者たちだ。
「これだけ集まれば十分だ。集まってくれた方々、感謝します」
霞は深々と頭を下げる。
男たちはそれに敬礼で答える。
彼らの瞳には一つの炎が灯っていた。"生きたい" "帰りたい" "家族に会いたい"
様々な想いがあるだろう。
だから、彼らを死なせてはならない。
ここにいない腐った連中はいくらでも死んでくれていい。でも、彼らのような勇敢な者たちには、生き残ってほしい。家族に会ってほしい。幸せになってほしい。
「では、今から説明する通りに動き、行動して下さい。突入などのタイミングは各自の判断にまかせます。
作戦開始は急ですが六時間後。それまでにしっかりと準備をしておいてください」
全員が霞の説明を真剣に聞き、地図を食い入るように見ていた。
誰もが、少しでも生き残る確率を上げるため、必死だった。
あぁ。絶対死なせるものか……。
霞はそっと心の中で誓った。
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