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「優さん、スタジオ入りま~す。」
優しげな笑みを浮かべ、スタッフに挨拶を返しながら優が入ってきた。
と。
「あら、優。」
先にスタジオに入っていた京子が、優に会釈した。
その瞬間。
「っ!!」
優の表情が激変した。
瞳をこれでもかというほど見開き、愕然と京子を見ていた。
京子を見ていた優。
その優の右腕が、びくっと震えた。
すっと、京子と優の間に晋也が入る。
晋也は威嚇するように、優を鋭く睨んだ。
「晋也。」
いつもとは違い、困ったように微笑みながら晋也の腕を押さえた。
「しかし、社長。」
「ちょっといいですか、吉村様。」
晋也が何か言おうとしたが、空気を読めない番組プロデューサーが話しかけてきた。
「はいはい。
行くわよ、晋也。」
「……はい。」
晋也は全然納得していないようだったが、大人しく京子の後に付き従った。
「じゃあね、優。」
ヒラヒラと片手を振りながら歩いていく京子。
その姿を、優は暫くじっと見つめていた。
なんだったんだ?
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