俺と一緒に歌いませんか?  〈3〉

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「では、本番いきま~す。」 スタッフの一声に、すっとスタジオの空気が引き締まる。 ピーンと空気が張る。 程よい緊張感が身体を満たしていくのがわかる。 わくわくするぜ。 「5秒前、4、3」 2 1 どうぞ。 番組のオープニングを飾る軽快な音楽が響いて。 「さあ、いよいよやって参りました『タッグで歌番組』。 司会を務めさせて頂く、安住です。」 「南です。」 テレビ局の力の入れ方もわかるな。 実力派で、最近人気の男性アナウンサーをあててきたか。 女性アナウンサーも、新人だが周囲の評判も良い人だ。 ま、万全の体制だろう。 「では、まずはトップバッターをつとめて頂きます、伊藤優花(イトウ ユウカ)さんと優さんです。 どうぞ前へ。」 安住アナの呼び掛けに、二人は前へと移動した。 優さんは言わずもかな。 伊藤優花という女性は、優さんより少し年上っぽい。20代後半くらいの大人しそうな女性だ。 クリーム色の長い髪はウェーブを描き、カラーコンタクトを入れていると噂されるグリーンの瞳と相俟って、まるで西洋のドール人形のようだ。 やっぱり若い頃はよく言われたらしい。 はっきりと言えば、魔王こと吉村京子とは真逆の女性のような感じだ。 ま、俺は今回が初共演だから、歌とかはよくわかんねぇんだけどさ。  
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