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空斗は極上の笑みを浮かべて蓮を見る。
蓮はしまった、と思ったものの発言に取り返しはつかない。
たまに蓮はこんな自分の性格とあんな性格の従兄弟が激しく嫌になる。
「貴方がそんな風に取り乱す姿を見るのは本当に楽しいです。それでこそ、からかい甲斐がある、と言う物ですよ」
「最悪の性格だな……」
「引っ掛かる方が悪い、と思いませんか? それに僕はこんな自分が嫌いではありません」
最初から最後まで自分に愛を叫ばせる為に仕組まれた巧妙な手口だ、と考えるだけで腹が立つ。
計算し尽くされた1つ1つの発言に乗った自分が憎い……。
「だからっ、嫌いなんだっ」
「……僕は大好きですよ? 貴方みたいに簡単に騙される人が」
結局は堂々巡りに会っては空斗に嵌められる……。
分かっているのにも関わらず蓮は何度でも空斗の“悪戯”の迷宮をさ迷い、空斗を喜ばせるのだ。
「なんか……ごめんね? 蓮さん……」
雪弥が夕日に頬を染めながら呟いた。
ニヤニヤ笑いの空斗といじらしい雪弥に挟まれる。
ただの三者面談で済むはずだったのに……よりによって地上の中で最も大嫌いな従兄弟が大好きな雪弥の担任で、これから先も長く付き合っていかなければならない事を考えると落ち込むしかない蓮であった。
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