2.カフェテリアにて

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「雪弥、カフェオレって飲めますか?」  日だまりのような笑顔で自分に接するのは30分ほど前に出会ったばかりの会社員の蓮。  年齢は……聞いていない。予想するに25歳~30歳くらいだろう。 「飲める」 「じゃぁ、カフェオレ1つ」  気が利く年上の蓮は黙って座っていれば逆ナンパされるくらいに良い男。  妻子が居ない、という事実が不思議に思われて仕方ない。  羽織らされたスーツからは爽やかな大人の匂いが放たれ雪弥をすっぽり覆う。袖は長すぎて元々小柄な雪弥の腕は形が分かる程度にしか見えない。 「立たせてごめんなさい。席に座りましょう。これは僕が持っていきますから」  女性の扱いはパーフェクトで注文したカフェオレが持てないのを見越して右手で品を持ち、反対の手で背中を軽く支えて席へ誘導した。  強すぎず、弱すぎずに不快を感じないボディータッチは寧ろ心地良い。
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