11.禁断のキスにて

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「本っ当にこの空気に腹が立つ……。見つめ合うならいっそう、キスでもすりゃぁ良いのに……」  そんな言葉に少し前のキス未遂事件を思い出して雪弥は瞳を潤ませて蓮の胸板を押した。  蓮も雪弥から慌ててパッ、と手を離してわざとらしく頭を掻く。 「ごめんなさいっ」 「私こそ……ごめんねっ」  蓮とキスするなんて想像を超えてしまう。  今まで誰ともキスなどしたこと無い雪弥には全てが未知の領域だった。それ以上の大人の世界など……考えるだけで顔から火を吹きそうになる。 「何? 夫婦なのにキスやセッ」 「な、何て破廉恥な言葉を使うんですかっ!? 僕と雪弥はそんな事しませんっ!」  雪弥にも礼美が言わんとした事は理解出来た。18歳にもなればそれくらい分かる。 「破廉恥? 好きな女と男が一緒に寝るのの何処がおかしい訳? それとも蓮は雪弥を“抱きたい”とか思わないの?」 「な、なっ……!」  放送ギリギリの単語の連続に雪弥は限界だった。  蓮も陸も礼美のマシンガントークに参っているようだ。
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