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「ご飯……用意するね?」
雪弥は蓮から摺り抜けて台所でカレーを温めた。
ついでに飲み物を何本か取り出してお盆に乗せる。
唐揚げは既に3人が摘んでいた。
「手伝います。礼美と長谷川君は晩御飯はまだですよね?」
蓮は器にほかほかつやつやのお米をよそう。蓮は結構な美食家なのでお米はいつも新潟産のコシヒカリだ。
料理は出来ないが味のセンスだけは抜群だった。
「まだですよ」
「う……ん。お腹空いたな……」
礼美は短い髪を耳に掛けながら蓮をチラッ、と見た。
「僕の顔に何か?」
「いや……。台所に立つ姿がミスマッチだな」
「……ほっとて下さい」
礼美の何気ない言動がいちいち雪弥を混乱させる。
陸は部屋を観察しながら雪弥と目が合うとニコリとした。彼は気にならないのだろうか?
「長谷川さんっ」
「っはい?!」
勢い良く叫んだものの言う事を考えていなかった。
「……辛い物は平気ですか?」
取って付けたような言い方はかなり苦しい。しかし、陸は爽やかな笑顔を浮かべた。
「大好きっすよ」
汚れを知らなさそうな無垢な子供っぽい顔は雪弥の醜い気持ちを拭い取ってくれた。
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