11.禁断のキスにて

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「ちょーっと待たんかい……」  目を閉じていても分かる殺意に蓮も雪弥も固まる。  目を開くのは命取りに成り兼ねない。 「れ……み……」  蓮が恐る恐る振り返ると礼美は恐ろしいくらいの笑顔で立っていた。 「死ぬか、殺されるか、選べ、カス」 「……どっちも死ぬ選択ですか?」  選択肢は誰が見ても明らかに無理難題だ。選べば間違いなく人生の終焉を迎える事になる。 「あったり前だろ?」 「助けたのに……死ななくてはいけないんですか?」  「……あたしが嫌がるの分かっててやったんだろ?」 「礼美がお酒に酔うからしてあげただけです。スッキリしたでしょう?」 「するかっ! あたしは……あたしはテメーが大嫌いなんだっ!」 「隣に越して来るストーカーなのに?」 「あれはっ! あれは父様がっ!」  だんだんと礼美が不利になってゆく。  流石に陸も助け舟を出す事となった。 「止めるっすよ、礼美」  諭すような上からの物言いに礼美は負けじと陸を睨んだ。 「長谷川はあの馬鹿よりあたしが悪いって言う訳? 蓮に何回も唇奪われても何とも思わないのかよっ……」  服の袖で唇を拭う礼美はさっきまでの強気な態度とはまるで違う。  きっと、陸に一言「嫌だ」と言って欲しいのだろう。 「嫌に……嫌に決まってるっすよ? だって、礼美はもう俺だけの物っすから……。でも……蓮さんに嫉妬しても、俺が惨めになるっす……」 「確かにその通り。長谷川君が僕に嫉妬するなんておかしな話ですよ? 浮気なんて有り得ない……」  蓮は自分を見て最後に付け加えた。 「いくら礼美が可愛くても、妹ですからね、僕の」  
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