11.禁断のキスにて

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 全く似ていない兄妹って本当に居るのだ。  顔も、性格も共通点を見出だせないほどに蓮と礼美は異なる所ばかりだ。 「き、聞いてない……」 「あれ……、言ってませんでしたっけ?」 「い、言ってない……」 「じゃぁ、改めて紹介します。長谷川君の奥さんで僕の妹です。社長令嬢……ですね、一応」  そんな紹介なんて要らない……。  これはかなり自分が間抜け過ぎる……。穴があったら入りたいっ。 「テメーを兄と思った事は無いわっ」  すると礼美は陸に軽く小突かれる。 「あんまり、困らせたら駄目っすよ」  何故だか分からないけれど雪弥は耳が熱くなった。  耳だけでなく頬も熱を持ち、心臓が早く打った。 「こ、子供扱いするなっ!」 「子供っすよ。俺には最高の女性ですけどね」  まるで、礼美の熱が伝わるかのようにどんどん雪弥の体が熱くなる。  しかも、いつかに蓮とやり取りしたような会話、まさしくデジャブ。 「雪弥っ?!」  ヒートした頭は軽くショートして雪弥はソファーに倒れた。  色々とありすぎて流石に何もかもがもたない。  せっかく、キスが出来そうだったのにそれは先送りになってしまった。  キスも、長い夜も無い生活はまだまだ続くようだ。  
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