2.カフェテリアにて

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「雪弥、紹介するよ。同僚の二宮 白兎(にのみや はくと)。白兎、こちらは女子高生の厳島 雪弥」  雪弥が軽く頭を下げると白兎は顎に手を添えて珍獣でも見るかのように雪弥を見回した。舐めるような視線が雪弥を見透かす。 「ふーん……、厳島 雪弥ねぇ……。よろしく」 「白兎、顔が怖い……。そして、初音(はつね)は? 連れて来てって頼んだよね?」  周りを見渡す蓮はもう一つの影を捜す。  そんな蓮の様子を見て白兎はしれっ、とした顔をする。 「ああ……、本条(ほんじょう)なら―――どこかに忘れてきた」  掴みどころの無い抑揚の欠ける喋り方には身が入っていない。  人を忘れて来るなんて天然なのかワザとなのか、白兎ならどちらでも有り得る。 「……本気で?」 「途中から居なかったな……そういえば。……あっ、本条から電話だ」  エレガンスな赤い携帯画面の着信に【本条 初音】と表示されているのを蓮に見せる。  白兎はそれを見せただけで着信メロディーは鳴り続ける。
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