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「…………取らないのか?」
メロディーはリズム良くランプを光らせる。それも段々と虚しく見えて来た。
ついに耐え切れなくなった蓮のツッコミが入る。
数秒のちに白兎はボタンを押した。
「もしもし? 本条? 迷子になったの? 可哀相に……。迎えには行かないよ。自力で来なさい、いい大人なんだから。何? うん、そこ右に曲がって直進したら居るよ。……見えた、見えた」
白兎がパチン、と携帯を閉じたのと同時に泣きそうなOLが息を切らして白兎に抱き着く。
「二宮さんっ! 会いたかったよーっ!」
「あー、ハイハイ、ご苦労様。暑苦しいから離れてくれる?」
クールな白兎は美少女の抱擁を同じくクールに払いのける。
冷たい刺さるような男達の視線を白兎は総無視すると言う行動を取った。
白兎が撒き散らす視線が「文句あるなら言ってみやがれ」と雪弥の耳には聞こえる。
怒っているようにも見えるのに依然として首に巻き付く初音を退かそうとしない白兎の行動が雪弥には不思議だった。
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