23482人が本棚に入れています
本棚に追加
「……ごめんなさいっ。“奥さん”とか言われるの嫌だよねっ? まだ、早いし……本当に考えなしの発言ですみませんっ」
一人で慌てる蓮が……失礼ながら可愛くて口元が緩む。
嫌だったら、こんなところで一緒に買い物なんてしていない。
「そう言ってくれて……私は嬉しいよ? ベッド見に行こうか?」
腕を取れば蓮が固まるのが判った。
「あの……」
「良いの。だって“夫婦”だから」
店員の困惑した表情の処理なんて二の次。
大事なのは蓮が“好き”だという気持ちだ。
「あっ! 夫婦で使われるんでしたら、こちらのダブルベッドはどうでしょうか?」
『だ、だ、ダブルベッドっ?!』
これは予想外のオススメをされてしまった。そんなものは希望していない。
「夜はゆったり会話をしながら語り明かすのも良し、広々した空間の使い方は多種多様ですわ」
「いえっ……。それはちょっと……」
これでも今日初対面で初夜から同じ空間を共有するのは―――嫌なのかな……?
少なくとも蓮は自分に好意を抱いていてくれて、自分を闇から救ってくれた。
「ねぇ…………蓮さんが嫌じゃないなら、これにしない?」
店員イチ押しの少し値段の高めなベッド。
雪弥は良いかな……っと思って蓮を見た。
最初のコメントを投稿しよう!