4.ショッピングモールにて

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「そんなに要らないってばぁー」  籠に溢れるくらいの新品の服が入っていた。蓮のオススメばかりだ。 「きっと似合いますよ」  どこから来るのか蓮はキッパリと言い切る。  言った後に蓮は相変わらず顔を真っ赤にして雪弥もつられて赤くなり、また笑いあった。  これが“普通のデート”なら楽しくて……夢なら醒めないでいてほしい……。  施設は地獄よりも酷いかもしれない。あそこに居る限り“希望”は無いに等しいだろう。  父親と母親を恨むわけではないが……あそこでまともな暮らしを送るのは無理な話なのだ。  今日はそんな嫌な事を全て相殺するくらいに浮かれ気分を味わえた。  外に出た時には爽やかな風が吹き黒い空のカーテンには星が瞬いていた。  
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