1.橋の下にて

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 考えるよりも先に脚が動く。  彼女の笑顔をもっと見たい、声を聞きたい―――蓮は彼女の多くを知りたくなっていた。それが例え一目惚れからの衝動的な物でも構わない。  こんなにも自分の心が揺さ振られたのは初めての事だった。  土手は草だらけでスーツのあちこちは汚れてしまう。それでも、突き進んだ。  やっと蓮が彼女の元へ着いた時、彼女はガサガサ蓮が音を立てていたので視線をそちらへ向けていた。  遠くから見た際には分からなかったが髪は甘栗色をしていて、それに合わせたかのように色素の薄い瞳を備えていた。  
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