5.ダブルベッドの中にて

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 買い物の額については触れない方向で……。  蓮は久々に湯水のようにお金を使った。貢いだとは思わないし、雪弥に貢がされたとも感じない。  自分の意志でした事で雪弥を疑うつもりは微塵も無かった。  殺風景だった部屋は生気が満ちたように明るくなった。  今まで一人分だった食器も日用品も二人分へと増えた。  家族が出来た喜びは想像以上である。  台所にあるエプロン姿がより現実味を帯びさせた。  お風呂場から出るとすでに何品かのおかずがテーブルに並んでいる。雪弥は料理上手だった。  ビールを取るついでに台所を覗けば味噌汁の湯気がもくもくと上がっていた。  「へぇ……。大根が入ってるんですね」 「うん。私はいつもこれだよ」  インスタント食品で生活していた蓮には栄養のある野菜を使った物は有り難かった。  良い匂いに胃の働きも活発になる。  ビールも美味しいが、やはり色とりどりの料理には負けるだろう。
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