5.ダブルベッドの中にて

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 晩御飯を食べ終わった後は紅茶を飲みながら明日の事について打ち合わせをした。 「普通に学生ですから学校に行きますよね?」 「うん。これでも受験生だからね」  雪弥はコクッ、と紅茶に喉を鳴らせて頷いた。  18歳と聞いていたので普通に納得。 「蓮さんは仕事だよね、夜まで」 「ええ……。でも、明日は雪弥と行かなければならないところがあるので帰りに……雪弥の学校の前で待ち合わせをしませんか?」 「行かないといけない所……?」  蓮は「秘密」と言って唇に人差し指を立てた。  これはサプライズなので今言ってしまうと面白味がない。 「明日の夕方に分かります」 「明日の夕方までは分からない、と……。焦らされると勉強出来ない……」  意外な攻め方に危うく口を滑らせそうになるが慌ててチャックを閉じる。 「お楽しみ、ですよ」 「……分かった」  雪弥が返事をし終わる頃にはカップはすっかり空になる。  時計の針は12時をほんの少しだけ過ぎた位置にあった。 「もう……寝ないといけませんねぇ……」  蓮は真新しいベッドに目を遣りぽつり、と漏らした。  非常に行きづらい……。  眠気はあるのだが、率先してベッドへ向かうのはやはり躊躇われた。
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