5.ダブルベッドの中にて

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 電気代を気にする訳ではないのでそのまま布団へ潜り込む。新品独特の匂いがした。 「おやすみ」  蓮は雪弥の頭を軽く撫る。雪弥は照れ隠しをするように目を閉じて「おやすみなさい」と呟いた。  蓮も瞳を閉じて寝る体制に入る。  しかし、いつもより視界が明るいので完全な睡眠に陥るのは難しい。  再び目を開けると、定期的に呼吸(いき)をする雪弥の寝顔に行き着いた。  無意識に手が雪弥の方へ伸びて、真珠のような肌に触れる。  僅かに雪弥がビクッ、となり睫毛が揺れた。 「……くすぐったいんだけど?」  怒る訳でもなく、まどろむ瞳でくすくす笑う。  思わず引き寄せてキスしそうになった。 「……ごめんね? 僕ももう、寝ます……」  体中の血液が沸騰しそうなくらいに燃え上がる。  自分に芽生えた“下心”に驚きが隠せない。 「おやすみぃ……」  むにゃむにゃ、とそれだけ言うと雪弥は次こそ深い眠りへ落ちた。 「………―っ」  自分ピンチ。  どう考えても寝られる訳がない。安眠なんて不可能だ。  彼女の可愛すぎる寝顔がある限り―――。  
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