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とてもぎくしゃくしながら蓮が作った炭に近いウィンナーを―――もちろん一生懸命作ったものなので美味しい……とは言い難いものでお腹を満たして一緒に家を出た。
蓮は会社へ、雪弥は―――施設へ向かう。
晩御飯の余らせたおかずをタッパに詰めて、妹と弟が待つ場所へ向かった。
「雪ねぇっ!!」
一日離れたていただけなのにやはり、此処が自分の家なのだと実感させられる。
汚れた服は昨日のままで、いつものように御飯を少量しか与えられていないのだろう。
鞄に入れたおかずとおにぎりを仲間の5人に平等に食べさせた。
「美味しい?」
「うんっ! こんなにうめー御飯、久しぶりだもんっ」
雪弥に一番歳の近い中学3年生の雅治(まさはる)はおにぎりにがっつきながらも半分以上を年下の本当の妹の雅子(まさこ)に譲る。
「ありがと、にーちゃん」
「ばっか! 遠慮なんかすんじゃねぇよ!」
照れ隠しで叫ぶ雅治はミニ版蓮のようだ。
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