7.定期考察会にて

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「つ、妻の弟(みたいなもの)です。今日、お手伝いをしてもらおうと思いまして」  礼美が固まった。微動だにしない。 「つ……ま? 刺身のツマ?」 「……人間です」 「爪楊枝の略?」 「……奥さんです。僕の」  二重の瞳が見開かれて、驚きがよく伝わる。  昨日の朝まで独身だった男が次の出社に既婚者になっているのだから驚くのは当然と言えば当然である。 「独身主義者が結婚?! 子連れ出勤? 坊主、名前は?」 「ま、雅治……」 「そうかい……。蓮の身内なら大歓迎だよ。ようこそ、我が社へ。あたしは蓮の補佐を務める長谷川 礼美(はせがわ れみ)。今日一日よろしくな」  礼美は自分が信頼している人物の一人である。  男勝りなサッパリした性格と曲がった事が嫌いな真っ直ぐな精神が蓮は好きだったりした。
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