7.定期考察会にて

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 会議室には既に全員が集まって試食会を始めていた。  今日は部下達が研究に研究を重ねた自信作を持ち寄る試食会。 「遅れてすみませんでした。今日の試食会から商品化する商品はこの子に決めてもらいます。もちろん、子供から大人まで楽しめる物を作ってきていますよね?」  突然の事に部下の顔色が変わる。  思った通りの反応にどうしようも無い。 「本気でやる気が無いなら明日から来なくて良ろしい! 考えが浅はかです。とりあえず、試食だけはしましょう。雅治君、まずかったら“まずい”と言って下さい。今回のターゲットは中高生なんです。自由に述べて下さった感想で彼らの目を冷まさせてあげて下さいね」  明らかにお酒やコーヒーを使ったケーキやお菓子が目立つ。 「にっ……げぇ……」  一口ティラミスはどう考えても口に合わないだろう。 「ごっほっ……」  コストを抑えたウィスキーボンボンに雅治は激しく噎せた。  語らずともどれだけ若者の口に合わないのかはよく分かる。  蓮は呆れて物も言えずに額に手を当てて深呼吸をした。
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