7.定期考察会にて

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「全員クビっ!」  険しい目つきで蓮が叫ぶと全員が顔を伏せる。 「と、言いたい所ですがそんな事はしません……。私にそんな権限は無いですからね。でも、貴方達はプロではなくても私に選ばれたチームです。普通の平社員よりも高い賃金を貰ってるでしょう? 私は貴方達の“能力”を買ったんですよ? 一口ティラミスの発想は素晴らしい、が、しかし、果たして下校途中のコンビニで女子高生が買うでしょうか? 彩り的にもベリーなどがある方が魅力を感じませんか? ウィスキーボンボン、コスト面に於いては文句はありませんが中身に工夫出来る点はありませんか? 例えば……ゼリーを入れたら食感にどのような変化が見られるのでしょうね? 視点をほんの少しずらすだけで世界は変わります。皆さんが学生だった頃の寄り道を思い出して下さい。来週、もう一度試食会を行います。この子を満足させられるお菓子を次こそ持ち寄って下さい。期待していますよ、皆さんに」  真剣な自分の言葉は沈む彼らに届いただろうか?  厳しいようだが、社会で生き残る為には甘い考えは駄目である。  上に立つ責任を負うからには小さなミスも、甘ったれた根性も認め訳にはいかない。
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