1.橋の下にて

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「あんた、名前は?」  彼女は川から岸へと向かって歩み寄る。  蓮は水音に掻き消された言葉に驚きつつも答えた。 「水谷……蓮」  彼女は下着を透けさせた服の袖から若干見える手を真っ直ぐ蓮の前に伸ばした。 「あたしは厳島 雪弥(いつくしま ゆきや)。よろしく」  紛れも無く雪弥が身に纏うのはセーラー服。蓮は伸ばされた手を握り返したものの雪弥には聞きたい事が山ほどある。 「雪弥ちゃん……」  蓮が雪弥に“ちゃん”付けすると雪弥の片眉が吊り上がる。 「……“雪弥”で結構。ちゃん付けは嫌いなの」  蓮は早速、雪弥の気迫に押された。 「はい……。えっと、君、もしかして女子高生?」 「……まぁ」  あっさり肯定する雪弥にコスチュームがコスプレで無い事が判明した。
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