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「長谷川君も懲りませんね……」
「これは不可抗力っすよ……。ずっと、そう呼んでたんっすから……」
脇腹を抱える長谷川は不憫である……。
「ずっと苗字だっただろうがっ! 嘘も大概にしやがれっ!」
「違っ! 影で……」
「きしょい事言うなっ! バレンタインにロッカーにメッセージ付きで入ってたチョコレート……まさか……」
「……手作りっす」
二発目は音で表せられないほどの攻撃だった。
「馬鹿野郎っ!」
そこまで切れる理由が礼美に無い訳ではない……。礼美の気持ちも分かる。
礼美はさっぱりした性格が災いして多くの社員から花束やら、高級バックやらを贈られていた。
とりあえず、それは長谷川と結婚する前の話。
礼美は自分より弱い男が嫌いで、しかも、告白の返事が変わっていた。
「貴方、あたしより長生き出来ますか?」
礼美は殺しても死なないくらいに強い。一種、細菌みたいな……。
だから、当然、男は皆引き下がった。
ところが、長谷川だけは諦める、と言う言葉を知らなかったらしいのだ。
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