7.定期考察会にて

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「何聞いてんだよっ、糞馬鹿阿保野郎っ!」  左からストレートパンチが空気を切って飛んでくるが食らうほど自分の反射神経は鈍くない。 「10年早いです」 「すっご……」  一歩引いていた雅治はさらに三歩引いた。  礼美のパンチと闘う事数年以上……無駄に生きている訳ではない。 「むっかつく……っ!」 「ふふふ……っ。それで長谷川君は礼美の何処が好きなんです?」  珍しく礼美が動揺していて面白かった。  長谷川君は縛らく考えて礼美を見ていた。 「秘密っすよ。俺だけが知ってる大切な思い出っすから……」  人差し指を唇にあてて微笑する長谷川の目は本当に礼美を愛おしそうに見る。 「へぇ……。礼美、愛されちゃって良かったですね?」  悔しそうに唇を噛み締める礼美の顔は真っ赤っか。 「いつか殺す……。ぜってー殺す!」  髪が逆立つほどの礼美の怒りに蓮はクスクスと笑いを漏らした。 「はいはい。今日は和食にしましょう? 雅治君もそれで良い?」 「あっ……うん」 「和食と言えば……刺身かなぁ」 「お寿司とかはどうっすか?」 「それに大さぁーんせーい……。品書き無い店で蓮を破産させてやる……」  早くも立ち直った礼美は怒りに任せてクッ、クッ……と肩を震わせてバックからどす黒いオーラを発していた。  蓮は何故だか、長谷川君の未来を案じてしまったのであった……。  
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