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「遠慮はいりません。好きなだけ食べて下さいね?」
「でもっ……」
雅治はどうにも居心地悪そうにしていた。
「今日の御礼です。それに、子供は遠慮なんてしなくても良いんですよ? 素直に受け取るだけで良いんです」
蓮は半ば強引に雅治の口へイクラを入れた。
雅治はもぐもぐして飲み込むと涙目になっていた。
「おいしい……」
「それは良かったです」
「うん……」
あの劣悪な施設には多分、こんな物は出ないのだろう。
雪弥が残り物を差し入れしていたくらいなのだから。
「さて……。僕はちょっと失礼しますよ。礼美、羽目を外さないように」
「蓮は食わねーの? じゃぁ、くれ」
既に7割をお腹に納めた礼美は人の物まで狙っていた……。
「良いですけど……雅治君のは取らないように」
蓮は礼美に釘を刺した。そうでないと礼美は雅治の分まで奪いそうだった。
「俺が見てるっす。安心して下さい」
「それでは……。5分くらいで戻ります」
その場はまともな長谷川に任せる事にした。
多分……多分だが大丈夫だろう。
部屋を出て蓮が向かったのは準備中の台所である。
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