7.定期考察会にて

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「今日は機嫌が良いですねぇ……」  蓮は真琴がウキウキしているのを見てそう漏らす。 「……まぁ」 「さしずめ“壱夜”絡みって所でしょう?」  真琴の喜怒哀楽は過去付き合った人間の中で一番顔に出るのだ。  雪弥がこれくらい分かり易いと助かるのに……。 「壱夜が……帰って来てるんですよ。3日だけ」 「へぇ。よかったですね? 結婚したのに近くに居ないのは淋しいですもんね」 「そりゃ……独身主義の先輩には分かりませんよ」  ……どうも、自分は皆から見ると独身主義らしい。  そんなつもりは毛頭ないのにやはり、30歳目前に独り身となるとそうゆう物になってしまうのか?  いや、多分、それまでの生き方に問題があるのだろう。  そう言えば、春風で何度かお見合いをした事があった。  相手は皆良いとこのお嬢様だった。  綺麗所のより選りで文句無しの相手だったのだが、悲しいかな……。  蓮にはウィンドーケースのマネキンにしか見えない。  似たような服に化粧、言う事は同じ台詞ばかり。  何を言ったのかは忘れたが、最後はどの女(ひと)も本気で泣いて走り去って行ったものだった……。  
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