7.定期考察会にて

20/21
前へ
/393ページ
次へ
「素直にそう言えるのは良いですね。私なんて10年以上掛かりましたから……」  真琴は苦い笑いを浮かべて自分を見た。 「でも……10年以上も想い続けられるのは凄いと思いますよ?」  雪弥が、愛しい人が側にいて10年も気持ちを閉じ込めるなんて不可能だ。  そんなに待たされたら気が狂ってしまうだろう。 「なんて言うか……近すぎたんですよ。私と壱夜」 「ああ、幼なじみでしたもんね」  近すぎるから、逆に叶いにくい恋……。  分かるような分からないような……。 「幼なじみの壁って意外に厚くて……。一度壊したらもう、戻れない恐怖があったんです……。今は壱夜が遠くに行きすぎて不安ですけどね」 「遠すぎるのも困り物って事ですか……」 「そうゆう事です」  部屋への扉を開けると―――長谷川が大変な事になっていた。  思わず真琴と二人して扉を閉めてしまった……。
/393ページ

最初のコメントを投稿しよう!

23482人が本棚に入れています
本棚に追加