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「なんか……ごめんなさい」
「いえ……滅相もない」
蓮と真琴は二人してはぁ、と溜め息を出した。
もう一度、この扉を開けるのは中々難しい……。
「行きますか?」
「行きましょう……」
バタン、と扉を開け直すと長谷川は半泣きをしていた。
「何で礼美が長谷川君の上に?」
「これは礼美ちゃんが……」
ベェシッ、と礼美に再び殴られた長谷川……。
「勘違いだっ! ごみっ! 気になって取ろうとしただけっ!」
「ああ……。てっきり欲求不満か、と」
血管がちぎれ音が礼美から聞こえたが蓮は普通に無視した。
いちいち付き合っていたらキリが無い。
「さぁ、デザートを食べて……と、言いたい所ですが、僕は用があるのでまた長谷川君にお願いします。雅治君、今日はありがとう。また、雪弥と行くから……」
「……うん」
「明日行くから、このお姉さんにお弁当受け取って長谷川君をお供に連れて、ついでに礼美も連れて帰って下さい」
「約束だぜ……?」
「もちろん。真琴、長谷川君、礼美、よろしくお願いします」
雪弥に迎えに行く、と言った約束。
絶対に遅れる訳には行かない……。
「余裕ねぇな?」
「……人間ですから」
礼美がまた一つ自分の弱点を見付けた。
隠してもいずれは見付かるが少し嫌だ……。
愛しい人が出来ると弱点もかなり増えるらしい。
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