23482人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしちゃったんですか、厳島サンは……」
「きっと、食中毒ですよ」
「違う」
自分についての話は自分の聞こえない所でお願いしたい。
憂鬱の理由が食中毒な訳無いに決まっている。
「彼氏、とかですかね?」
教師は何を根拠にそんな事を言うのだろう。
まさか「結婚した人待ちです」なんて可愛く言える訳もなくて雪弥は固まった。
「図星っ?!」
晴香の意気揚々としたハイテンションにクスリ、と意味不明な微笑を浮かべる先生。
「恋に現(うつつ)を抜かすのも結構ですけど……あまり僕をてこずらせないで下さいよ? 問題なんて起こしたら……」
クスクス尾を引くように余韻を残して嵐は去って行った。
「ミステリアスな人だよねー。梶原ティーチャー」
晴香がしみじみとそんな事を言った。
「うん。ある意味一番怖い人だね……」
晴香の言葉に雪弥は激しく同意したのだった。
最初のコメントを投稿しよう!