1.橋の下にて

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「とにかく、駄目じゃ無いけど……雪弥は良いの? その、結婚なんて……」  自分から申し込んだが、相手が18歳だとなると話は別である。「はい、そうですか」と納得して婚姻届を出す訳には行かない。 「大丈夫。心配しないで? 私、孤児だから」  雪弥は笑ってスカートが吸った水を切りながらさらり、と蓮にカミングアウトする。蓮の脳に内容が届くまで時間を要した。  どうして今までこの子を誰も愛してあげなかったのだろうか?  蓮は陰った雪弥の笑顔に心臓を締め付けられた。 「それは……笑って言う事じゃ無い」  蓮は華奢な肩を強引に抱き寄せて無理矢理笑う雪弥を目一杯優しさで包んだ。  雪弥は鋼鉄のような胸に抱き留められて息が止まる。  押し返しも、抵抗も効かない強い大人の男に雪弥の身体が熱くなった。  
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