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「しっかり捕まって下さいね」
ヘルメットの下から声が聞こえて回した腕に力を込めた。
ブンッ、とエンジンが唸ると体が揺れる。
ギュッ、と力の限りに目を閉じた。
風がものすごい勢いで体を摺り抜ける。
恐る恐る開いた視界の先には見た事のないような世界が広がる。
自分が風のように感じた。
前から香るのは蓮の臭いで、感じる熱も蓮の物。
近すぎる距離にもどかしさを感じた。
―――ずっと、ずっと触れていたい。
―――だけど、恥ずかしい……。
色々な感情が体の内で混ざり合う。
蓮から与えられるドキドキが永遠に止まらない気がした……。
ううん、もう、止められない……。
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