8.待ち合わせにて

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「しっかり捕まって下さいね」  ヘルメットの下から声が聞こえて回した腕に力を込めた。  ブンッ、とエンジンが唸ると体が揺れる。  ギュッ、と力の限りに目を閉じた。  風がものすごい勢いで体を摺り抜ける。  恐る恐る開いた視界の先には見た事のないような世界が広がる。  自分が風のように感じた。  前から香るのは蓮の臭いで、感じる熱も蓮の物。  近すぎる距離にもどかしさを感じた。  ―――ずっと、ずっと触れていたい。  ―――だけど、恥ずかしい……。  色々な感情が体の内で混ざり合う。  蓮から与えられるドキドキが永遠に止まらない気がした……。  ううん、もう、止められない……。  
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