8.待ち合わせにて

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 走り続けたバイクはやがて広大な海へと出た。 「うーん……、疲れたぁ……」  蓮は大きく伸びをして海を仰いだ。  雪弥もヘルメットを外して輝く海に視線をやる。  塩の爽やかな匂いが強く香って夕日が赤く煌めきとても幻想的だった。  暗闇と溶け合う赤は大人の色をしている。 「どうして私をここへ?」  雪弥には蓮の目的が見えなかった。カップルばかりが集い愛を深める。  蓮が自分といちゃつきたくてこんな所へ連れて来たとは考えにくい。  蓮は自分の問いに決まり悪そうに口ごもる。 「仕切り直しをしたくて……。その……」  夕焼けに染まった蓮は先の言葉を雪弥の方へ顔を向けてから続けた。 「好きです。だから、ずっと一緒に居て下さい……」  
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