1.橋の下にて

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 時間を忘れるほど蓮は雪弥を抱きしめた。呼吸よりも、何よりも雪弥が“そこに居る”事を確かめる。  自分が離したらこの儚い少女は二度とは舞い戻らない気がした。 「く……るし」  強く雪弥を固定しすぎて雪弥がもがいている。時々、背中に衝撃が来るなと思っていたら、それは雪弥の意志表示だったのだ。 「あ、ごめんね?」  ぷはっ、と息を吸う姿も―――可愛い。  自分は相当、雪弥の顔や、身体や、それ以外の全てに嵌まってしまったようだ……。  
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