23482人が本棚に入れています
本棚に追加
「……すっごい悪寒がしますねぇ」
蓮は雪弥の学校を前にして身震いした。
割と新しい校舎。部活に励む生徒が賑やかだ。
ゆっくり周りを眺めながら進む。
雪弥とは教室の前で待ち合わせをしていた。
脳内で雪弥からの情報を組み立てながら道を辿る。こんな所で迷うほど子供ではない。
校内にはあまり人が居らず外に比べて閑散としていた。
前の人がまだ終わっていなかったので雪弥は廊下の椅子にちょこん、と座っていた。
「あっ、蓮さん!」
「すみません。時間に間に合わな……く……」
「先生ありがとうございました」
「いえ。お気をつけて」
蓮は教室から現れた面談者に続いて出て来た教師に息を飲んだ。
纏(まと)う空気は違えども話言葉が違えども見間違えたりはしない。絶対に目の錯覚などではない。
「お先に」と声を掛けられても返事に結び付かなかった。
「……どうぞ?」
蓮は教室の中へ入る事を薦められた。その笑みが妙に嘘臭い。
前に踏み込む足に変な力が入った。
最初のコメントを投稿しよう!