10.三者面談にて

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「さて……。『はじめまして』は相応しくありませんね? ここは……」  人をやたら見た後でようやく口を開いた。 「『久しぶり』が適当だと思いますよ?」  蓮はなるべく隙を作らないように微笑んだ。  相手は分かりきっていてそうゆう聞き方をする男なのだ。 「そうですね。お久しぶりです。お元気でしたか?」 「ええ、それなりには。そんな前置きなんて要りませんから早く面談を始めて下さい」 「せっかちな男はモテませんよ?」 「2度同じ事を言わせないで下さい。つべこべ言わずに始めろ」 「……はいはい」  空斗は口角を少しだけ持ち上げ、雪弥のデータが入っているクリアファイルの中身を広げた。  空斗と同じテリトリーに居る事自体がもはや蓮には限界だった。  心で余裕の無い自分をみて嘲笑ってるに違いない。  逃げたい―――  
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