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逃げたい……別に蓮にはやましい事などない。それはあくまでも空斗に比べれば、の話だが……。
「成績に問題もありませんし……交友関係も立派な物です。まぁ、貴方を除けば、ですがね?」
お前が言うな、と蓮は彷彿とする訳の分からない感情を抑えた。
「……僕に問題は無い」
「……誰も今の貴方とは言っていません。別に墓穴を掘るつもりならどうぞご自由に?」
いけしゃぁしゃぁ、と人の痛い所ばかりを突く。分かっていてやるから質(たち)が悪いのだ。
「人を馬鹿にしているのなら帰ります……。話は終わりましたよね」
「……馬鹿、ね……。していない、と言えば嘘になりますが心から貴方を馬鹿にするほど俺だって馬鹿じゃないだ。久々の再開なんだから少しくらい付き合え。まだ、肝心な話も聞かされてないしな。座れよ、蓮」
次は空斗が蓮に命令を下す。事情をあまり理解していない雪弥は心配そうに自分を見ていた。
蓮はぐっ、と高まる気持ちを抑えつけて進んだ分の距離を戻った。
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