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超能力などではなく強い目力があるだけなのに瞬きすら忘れてしまう。
空斗は嘘臭い笑顔でそれを満足そうに見た。
「うん。やはりマナーは守られるべきですね」
するり、と離れて行く手に寒気が走る。長い指のなぞる感覚が纏わり付いていた。
「気色……悪い……」
「別に捕って食ったりしませんから」
空斗はクスクス笑う。この微笑みはいつも怪しい。
「さて、じゃれ合いもほどほどにして厳島サン……いえ、“水谷サン”とでも御呼びしましょうか?」
伏せていた視線を雪弥はビクリ、と上げた。おまけに肩も上げた。
「先生……あの……」
「学生の身分で……。この学年は学生結婚ブームなんでしょうかねぇ……」
空斗は雪弥を見ながらまたクスリ、とした。
「それって……」
「そんなものはバレなきゃ良いんですよ。僕の知ってる限りでも2人は居ますからねぇ……」
教師の台詞としては確実に間違っている。そんな事を言う教師を見た事も聞いた事もない。
しかも平然と吐かすから驚きである。
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