一振りの重み

3/4
前へ
/12ページ
次へ
まだ20歳になるかならないかの若者たちでした。I爺さんは滑走路上脇でその子たちの出撃の合図の旗を振っていました! I爺さんが右手に持った赤い旗を振り下ろすたびに一機また一機と二度と帰れぬ旅へと飛び立って行きました!I爺さんは一振りづつ、一機見送るたびに敬礼して必死に溢れる涙をこらえていました。 自分の一振りで人ひとりの命が消えるわけです! 0戦、紫電解、桜花など、名機とうたわれた戦闘機と共に南方に向かい飛び立って行きました! そして…米軍空母へと体当たりを敢行し… 散って行くのです… 空母に辿り着くことなく玉砕した機体も数多くありました… 帰還が許されたのは、エンジントラブルと、燃料漏れなどを起こし、米軍まで辿り着けない機体のみです。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加