序章

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「いって……」 一瞬だが、気を失った。 一体何が起こったのだろうか、勝負は一緒だった。 一体全体なぜアーノルドと2人仲良く屋根の上で星を見上げているのか、暫しの記憶を思い返してみる。 ほぼ同時に距離を詰めて前にでた、ここはいい、タイミングもバッチリで文句のつけようがない。 その次だ、自分の間合いに入った2人は前後から挟撃にでる。 これもいいだろう、前後から攻撃を繰り出されれば、両手で防がなければならないし防いだ後は、空いた手で攻撃を加えて一気に倒す。 基本通りだったはずだ、では何故屋根の上で仰向けになっているかだが、事件はその直後に起こった。 突き出された俺の剣を、男は斬線に対して直角に避け、剣の腹をこつき軌道を自分からアーノルドの額に移したのだ。 当然のごとく2人に隙が生まれ、体術によって一瞬で屋根の上に叩きつけられる事になった。 そして現在に至るわけだが、自分でも信じられなかった。 自分の力を過信してはいないが多少の自信はあった、それはアーノルドも同じだったようで、顔に信じられないとデカデカと書いてある。 それをこうまであっさりと返されると、ショックを通り過ぎて、清々しくも思えてくる。 しかし男はトドメをささないでいる、その目的はなんなのか分からなかった。
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