序章

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「まぁ、及第点ってところだな」 男が初めて口を開いた。 その声は渋く、30代後半から40代というところだろうか。 「はぁ?」 思わず気の抜けた声を漏らしてしまった。 「『はぁ?』じゃないだろう、及第点って意味が分からなかったのか?合格だって言ったんだよ」 男はフードを目深にかぶっており、表情はまったく読めないが、眉間に皺をよせたことだろう。 男は外套から携帯端末を取り出し、手早くボタンを押していく。 すると、視界の両端から白い線が走り、ちょうど真ん中で混じりあい『ミッション中断』の文字が形成される。 同時に耳元からは機械で作られた女性の声が、その文字を音読復唱する。 数秒後には、今見ていた夜の街の景色に正方形の形に枠線が入り、無数のパネルが1枚1枚端から順に裏返っていく。 裏返ったパネルは、弾力性のありそうな材質のようで、薄暗く青白く光っている。
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