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「他に質問は?」
他に気になる事がなかったから、俺は首を横に振った。
アーノルドも無言のままだ、おそらくはないのだろう。
「そうか」
リンドバーグは、席を立ち代金をカウンターに置き、俺達の肩に手を起いて言った。
「お前等、期待の新人だってな。話は聞いてるぜ、頑張れよ。目一杯こき使ってやる」
最後に不吉な台詞を残して、リンドバーグはそのままバーを立ち去った。
「お、おぃ聞いたかよ今の言葉」
「期待の新人だってな」
「そんな噂があるんなら、やるっきゃねえだろ」
俺は、1人燃えていた。アーノルドも多少興奮はしていたが、そんなにはしゃぐなと一喝されてしまった。
特に用もなかったので、俺達は今までいたバーを後にした。
腹が鳴った。
腕時計の長針は、夜の9時をさしている。
俺達の足は、自然と食堂に向かっていた。
そんなタイミングでアーノルドが話しかけてくる。
「今日の夕飯代はお前持ち決定だな」
「ちょっ、なんでそうなるんだよ。あの人だって引退したって言ってただろ」
間髪入れずに慌てて反論したが……
「確かにそう言ったが、それは前線を退いだけだ。それに対して俺の言った事は当たってる」
「ぐ……」
反論できなかった。この後俺は、渋々財布の紐を緩める事になった。
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