第1章

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「他に質問は?」 他に気になる事がなかったから、俺は首を横に振った。 アーノルドも無言のままだ、おそらくはないのだろう。 「そうか」 リンドバーグは、席を立ち代金をカウンターに置き、俺達の肩に手を起いて言った。 「お前等、期待の新人だってな。話は聞いてるぜ、頑張れよ。目一杯こき使ってやる」 最後に不吉な台詞を残して、リンドバーグはそのままバーを立ち去った。 「お、おぃ聞いたかよ今の言葉」 「期待の新人だってな」 「そんな噂があるんなら、やるっきゃねえだろ」 俺は、1人燃えていた。アーノルドも多少興奮はしていたが、そんなにはしゃぐなと一喝されてしまった。 特に用もなかったので、俺達は今までいたバーを後にした。 腹が鳴った。 腕時計の長針は、夜の9時をさしている。 俺達の足は、自然と食堂に向かっていた。 そんなタイミングでアーノルドが話しかけてくる。 「今日の夕飯代はお前持ち決定だな」 「ちょっ、なんでそうなるんだよ。あの人だって引退したって言ってただろ」 間髪入れずに慌てて反論したが…… 「確かにそう言ったが、それは前線を退いだけだ。それに対して俺の言った事は当たってる」 「ぐ……」 反論できなかった。この後俺は、渋々財布の紐を緩める事になった。
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