第1章

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夜が明けて、朝になった。 昨日、夕飯を食べている最中に、いつ会いに行くのかを話し合った結果、『早いほうがいいだろう』という意見で一致した。 幸い出撃部隊は、再集合まで特に業務はない。 つまり、言うところの3連休だ。 部屋の壁に掛かっている時計に目を向ける。 時刻は、ちょうど9時をさしている。 「おっと、ちょっと遅れちまうな。早くいかねぇと怒られちまう」 特に軍務をこなす用事もないので私服だ。 ここしばらく着ていなかったから、押し入れの匂いが抜けきらないのが少し気になるところか。 朝食を軽く平らげた後、上着を手に部屋を飛び出した。 今の季節は冬だ。 一歩外に飛び出すと、肌を刺す冷たい風が吹いている。 「おぉ~さむさむ」 上着を羽織り、リオフリンツ中央広場を目指す。 大きなぼたん雪が、鉛色の空からゆらりゆらりと舞い落ちてくる。 街道には除雪の為に、食塩水がまかれている。 歩道もまた然りである。 これによって走って転ぶなんて事はないはずだ。 俺は走った、途中腕時計を見る。 時間は、9時半だ。 少し遅れるがまぁいいだろう。 俺は、先を急いだ。
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